ロシアンブルーと猫アレルギーについて

この記事はCFAのロシアンブルーカウンシルとロシアンブルーファンシャーズのために執筆されたものです。無断転載を禁じますが、疑問を持つ方にこのページをご紹介ください。

ロシアンブルーは猫アレルギーの人に本当に低アレルギーなのでしょうか?

著者 Teresa Keiger

2020年11月11日、ロシアンブルーファンシアーズ(CFAのロシアンブルーブリードクラブ)会長のBarbara SchreckとセクレタリーのAnnette Wilsonの承認のもとに作成されました。

ロシアンブルーが猫アレルギーの人に対して低アレルギーであり飼育可能であるという考えがどのようにして始まったのかは定かではありませんが、それはロシアンブルーのブリーダーが広めたものではありませんでした。この素晴らしい猫種の仕組みを知っている人がいるとすれば、それは24時間365日、彼らと一緒に暮らしてきた人たちでしょう。ここでは猫アレルギーのメカニズム、アレルギー反応に影響を与える要因、ペットアレルギーを持つ飼い主がロシアンブルーや他の猫を飼育する前にしっかりと現実を見極める必要がある理由を見ていきましょう。

Fel d 1:すべての始まりとなったアレルゲン

アレルギー反応にはその引き金となるものがあります。猫アレルギーの場合、そのきっかけはFel d 1です。Fel d 1は猫の8種類のアレルゲンの1つでFel d 1~Fel d 8と呼ばれています(注:Fel dはWHOのイエネコの呼称です)。このアレルゲンは主に猫の皮脂腺(皮膚の脂)と、涙管・口・肛門周囲の線によって生成されます。猫の毛や皮膚のフケが原因ではありません。しかしながら長毛の猫はアレルゲンを覆う面積が長い毛によって広くなるために、より多くの毛繕いをし、その際にFel d 1をコートに付着させてしまうのです。
猫のフケに反応する人の話を耳にすることがあります。フケは皮膚や毛の微細な粒子で構成されており、猫の場合はこの粒子がFel d 1に覆われていることがあります。これは猫(または人間)に見られるような大きな皮膚の破片であるフケではありません。多くの要因がFel d 1の生産性を高めます。去勢していない交配可能な雄猫は、避妊していない雌よりもはるかにたくさんのFel d 1を生成し、避妊去勢した猫のFel d 1の生成量はそれらよりはるかに少ないです。猫がバランスの取れた食事をしていれば健康で体全体のバランスが保たれているためにFel d 1の生成量は抑えられます。また定期的なグルーミング(入浴させてFel d 1を含む油分を取り除くこと)は確かに効果的です、ただししばらくの間に限られます。しかし肝心なのは全ての猫がFel d 1を生成するということです。

では何故人々はいくつかの猫種が猫アレルギーの人にとって低アレルギーであると思うのでしょうか?

理由はたくさんあります。90年代に低アレルギーの猫を作出したと主張した人がいましたが、それは詐欺でした。低アレルギー猫の流行に乗って自分の猫種も低アレルギーであると主張する人もいましたが、現実はそうではありませんでした。雑誌の編集者は「猫アレルギーの人のための10猫種」のような記事を求めて記者を送り込み、そしてその記者たちはその話を見つけました。どこかで、なんとかして見つけたネタが、次のネタ元になったのです。短毛や無毛の猫は低アレルギーであると宣伝されています(Fel d 1を留めておくための被毛が長毛より少ないので長毛よりは低アレルギーである可能性はあります)。本当のところ、「自分は猫アレルギーだ」と思い込んでいる人の多くは、本当に猫アレルギーではありません。アレルギー体質の人が知らず知らずのうちに猫のそばにいて何の反応もなかったという話は多く見聞きします。

猫アレルギーのある飼育希望者はどうなりますか?

願わくば、本当に猫アレルギーがあるのであれば猫を飼育する(あるいは飼育しない)将来のことをよく考えていただきたいです。責任あるロシアンブルー(または他の猫種)のブリーダーは猫たちの福祉を第一に考えていて、自分が猫アレルギーだと言う人に猫を譲渡することはないでしょう。何故なら、1に、猫を飼育できなくなる可能性がある家に猫が行くのは、猫にとってフェアではありません。いきなり環境を破壊されるのは猫にとっても飼い主にとってもストレスです。猫は猫らしくあるべきで、そうではないと主張するのは猫の新しい飼い主なのです。2に、子猫が大人になってFel d 1をたくさん生成するようになるまでは、子猫の新しい飼い主との生活がうまく行くかも知れません。もしくは飼い主を困らせるようなことをするまでは、そしてその後、せいぜい猫はブリーダーに戻されます。3に、あるいは希望を持って新しい飼い主がアレルギーの注射を試してみます。上手くいく時もありますが、そうでない時もあります。事前にどうなるかを知ることはできません。

Fel d 1の生成を防ぐとされる進化したキャットフードを与えるのはどうでしょうか?

猫がFel d 1を作らないようにする免疫療法はアレルゲンの発生源を標的とした猫アレルギーの治療における最初の進歩です。しかしながらこれらの進歩はまだ非常に新しいものです。免疫療法は2019年に発表されたばかりで、ピュリナは2020年の春にそのフードを発売しました。このフードは新しいので注意してください。まだ特定されていない長期的な悪影響が発生する可能性があります。アレルギー反応には個体差があり、感受性の高い個体ではFel d 1の生成量が十分に下がらない可能性もあります。

ブリーダー(キャッテリー)を訪問して自分の反応を見てみるのはどうでしょうか?

覚えておいてください、ブリーダーの家はあなたの家ではありません。あなたよりも多くの猫を飼育していて、時には他の猫種や雑種、その他の動物もいるかも知れませんから、比較するのは難しいと思います。「家」という言葉に注意してください。趣味でブリーディングをしているブリーダーも多く、キャッテリーは自宅でもあります。猫アレルギーを確かめるために自分の家に他人を招くことに慎重になるのは当然のことです。一部のブリーダーは「テスト訪問」を許容しているかも知れませんが、通常は、広範囲に連絡を取り猫の譲渡を検討している相手にのみ許可するでしょう。

見通しが暗いと思ったら・・・

そうですね。しかしこの記事から得られるポイントは以下の通りです。

1. ロシアンブルーは猫アレルギーの人にとって低アレルギーではない。
2. ブリーダーの最大の関心事は彼らが繁殖した猫が愛されるフォーエバーホーム(終の棲家・ついのすみか)に譲渡することです。「フォーエバー・永遠」とは「飼い主がアレルギー反応をおこして猫が返却されない限り」という意味ではありません。
3. 猫の福祉が最優先です。

さらに詳しい情報は以下の資料をご覧ください。※全て英語のページです。

An update on molecular cat allergens: Fel d 1 and what else? Chapter 1: Fel d 1, the major cat allergen
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5891966/

Fel d 1 and Fel d 4 levels in cat fur, saliva, and urine
https://www.jacionline.org/article/S0091-6749(18)31175-8/fulltext

No Such Thing as a Hypoallergenic Cat
https://www.smithsonianmag.com/science-nature/theres-no-such-thing-hypoallergenic-cat-180968819/

Pet Allergy Quiz
https://www.aaaai.org/conditions-and-treatments/allergies/pet-allergy/pet-allergy-quiz

The Truth About Pet Allergies
http://www.aaaai.org/Aaaai/media/MediaLibrary/PDF%20Documents/Libraries/EL-allergies-pets-patient.pdf

Testing Kittens for Homes with Allergies
http://kittentesting.com/allergens.html

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